20世紀は、戦争と革命の時代だった。

人間はたがいに争うだけでなく、自然環境も破壊している。

この文明の根本には、対立と競争の論理がある。

文明からのがれて、人と人、人と自然との対話の
あたらしいかたちをさがすために、古代にさかのぼれば、

アジアの島々に、その手がかりは、まだのこっている。

ジャワ原人がいたサンギランの丘には、100万年前の貝殻がちらばっている。

数十万年後の縄文文化も、そこにつながっている。

音楽は、人びとが世界の響をさぐる技。

舞は、からだが世界の風を聴く道。

このコラボレーション「縄文ジャワ」に参加するのは、アジアで最も信頼する友人たちであり、未来をひらく重要なしごとをしている芸術家たちだ。サルドノはインドネシアだけでなく、現在の世界で最も注目される舞踊家の一人。現代社会や環境問題に深くコミットしていると同時に、伝統の根源をみつめ、古代遺跡に未来からの風を読んでいる。サドゥラは、バリとジャワのガムランだけでなく、島々の多様な伝統を組み合わせ、組み替えて、のびのびと息づく現代の音楽をつくる。また、ここで演奏するマセダの音楽のなかでは、西洋の長音階とガムランのスレンドロ音階、竹と青銅の音色を背景に、日本の俳句が朗唱される。異なる文化が出会い、対立することなく、悠久の平和のなかにとけこんでいく。このように音楽は、来るべき社会のモデルを提出することもできる。はじめに演奏する「慈経」Mettasuttaは、ブッダのことばによりながら、友情と寛容の光が世界をくまなく照らすことを祈願する。

高橋悠治