いよいよ新世紀を迎える来年2001年。その上半期の公演スケジュールが、新しい時代の幕開けにふさわしく、強力なラインナップで決定した。

2001年上半期スケジュール(予定)
 1)2001. 2. 2(金)高橋悠治「さよなら20世紀」(仮題)
           すみだトリフォニーホール
 2)2001. 4    キース・ジャレット トリオ
           全国5回公演
 3)2001. 5    パコ・デ・ルシア・セクステット
           全国13回公演

それでは今週から3回にわたって、その公演についてひとつずつご報告しようと思う。
まずは公演日程の順番の通り、高橋悠治公演から話そう。すみだトリフォニープレゼンツ、鯉沼ミュージック企画制作ということで、高橋悠治久々の大ホールでのコンサートとなるこの公演について、僕は高橋さんにただ一つ「何か今までにないアイディアを盛り込んだ新しい作品をやってほしい」という注文を出した。そして、「さよなら20世紀」として高橋さんから次の様な公演概要が提案されたので、抜粋して紹介しよう。

「さよなら20世紀」
暴力の文明から、平和と友情の世界へ
不安と抽象の20世紀音楽から、
寛容と微かな光に向かって

前半 高橋悠治 Mettasutta 「慈経」
   (パーリ語と日本語でうたわれる最古の経典のひとつを合唱)
   ホセ・マセダ作曲 ゴングと竹の音楽 (合奏&合唱)
   (西洋の長音階とガムランのスレンドロ音階、竹と青銅の音色を背景に、俳句5句が朗唱される)
後半 サルドノ・クスモ(舞踊)、イ・ワヤン・サドゥラ(ガムラン)、高田和子(三味線)、西陽子(筝)によるコラボレーション(異なる伝統から出発して、相互理解と協力による新しい文化の形をさぐる。)

これを読めばわかる様に、高橋さんの音楽的、哲学的見地から20世紀を総括した上で、この日ここでしか体験できない新しい試みが、新世紀への期待と願いを込めて発表される。
特筆すべきは、ここで演奏される曲を作曲したホセ・マセダ(武満徹、中国のタン・ドゥンと並ぶ20世紀最高のアジア現代音楽作曲家。フィリピン生まれ)をはじめ、アジアの音楽家としては最高峰と言われるメンバーとの即興も含む形での共演である。遠大なるテーマに沿って、最高の音楽家たちの技と魂がひとつになった時、その結果はいかなるものになるのだろうか? それを是非、これを読んでいる皆さんに体験してもらいたいと僕は思っている。

最後に主な出演者のプロフィールを紹介する。

<高橋悠治>作曲その他
60年代は、欧米で現代音楽のピアニスト。その後、フリーミュージックの即興、コンピュータによる作曲やライブを経て、現在は日本の伝統楽器による「手」や身体と音の意識に基づく音楽の創造を試みている。
<高田和子>三絃
東京芸術大学で中能島欣一に山田流筝・三絃を師事。大学院修了後、杵屋正邦に三絃を師事。91年より海外各地で古典や現代の三絃曲を演奏。

<西陽子>筝
4歳より生田流筝曲を学ぶ。沢井忠夫、沢井一恵に師事。東京芸術大学卒業。新作初演、復元楽器の演奏等、様々な角度から筝の音楽に取り組む。

<イ・ワヤン・サドゥラ>インドネシア伝統楽器
インドネシア・バリ生まれ。バリ音楽と芸術が彼の精神的芸術的バックグラウンド。国立芸術学院で作曲、バリ・ガムランを教える。国際芸術科学&テクノロジー教会の「新しい地平」賞を作曲家として初めて授与される。

<サルドノ・クスモ>舞踊
ジャワ島生まれ。7歳よりインドネシア芸術舞踊を習い始める。64年ニューヨーク万博でインドネシア舞踊団主演ダンサーとして渡米。帰国後は演出家として活躍。伝統舞踊だけでなく創作舞踊にも力を入れている。