音楽にとって重要なことは、常に進化、変化し続けていることだと僕は思います。過去の例で言うと、マイルス・デイビスやジョン・コルトレーン。彼らは常に新しいことを追求し続けていました。僕が何度も日本に呼んでいるキース・ジャレット・トリオにしても同じです。常に変化しています。彼らのステージでの演奏を聞いていますと、新しいものを模索しているプロセスがよく見えます。ところが、メンバーが確立したグループの多くは、同じサウンドを繰り返しているだけにすぎません。ある時点で音楽が止まってしまうのです。様々なゲストを加えて変化・ヴァラエティをつけたとしても、根っこにある音楽そのものが止まっているグループに僕は興味がありません。つねに前進している音楽家でないと僕は興味をそそられません。

e.s.t.のステージを見ていると、結成以来常に同じメンバーで演奏をしているにもかかわらず進化が続いています。
同じメンバーで長年一緒に演奏をし続けるのはとても難しいことです。お互いの演奏方法がわかってくると、なれあいになり、変化が感じられなくなります。そういったグループを僕は今までに幾つも目の当たりにしているから、いかにe.s.t.が前向きな姿勢を保っているかということがよくわかります。まだ若いし、計り知れない可能性を彼らからは感じます。具体的な名前は出しませんが、昔のヒット曲を演奏して、過去の名声だけで食べているミュージシャンが沢山います。それを望んでいるお客さんがいて、それで成り立っているわけですが、僕はそんな音楽には興味がありません。結成以来12年たっているe.s.t.ですが、新譜が出るごとに 進化が続いている。だから、僕は彼らにこだわって何度も日本に呼んでいるわけです。今後彼らがどんな音楽の高みに到達するのかを見届けたいと思います。
鯉沼利成