キース・ジャレットが何千回も受けたインタビューの中で、ベストが武満徹さんのインタビュー(注1)だということを聞いたことがあります。その武満さんがべた褒めしたのが、前2回に書いた映像ディレクターの河内紀さんです。大分前のことになりますが、「武満徹 日本シネマ館 TOKYO MUSIC JOY」の編集を河内さんにお願いすることになり、武満さんに紹介したところ、武満さんは、河内さんが担当した鈴木清順監督の「ツィゴイネルワイゼン」の音楽がとても素晴らしいとある記事で(注2)絶賛していたんです。そのおかげで、河内さんは武満さんの好きなように編集していただいて構いませんというお墨付きを頂いてしまいました。
その河内紀さんが撮影したDVD「TOKYO SOLO 2002」のビルボード誌のレビューを今回はご紹介します。
New York (Billboard)- ARTIST: Keith Jarrtett DVD
TOKYO SOLO

当初は昨年秋にリリースされる予定であった「TOKYO SOLO」は2002年の日本に於ける彼の150回目のコンサートでの、ピアノの天才、Jarrettを鮮やかに捉えている。このDVDは2005年に出た大阪の即興演奏に東京の演奏会からの何曲かを付け加えたCD、"Radiance"に続くものである。
 この110分の演奏は、彼が自分の即興芸術を壮大な長さと小さなサイズの両方の様々な自然発生的なメロディ(タイトルなし)の新しいレベルに持っていったのがわかる。カメラは、Jarrettの表情、苦悩に歪む顔から卓越した驚きの顔までを詳しく、明らかにしている。そして、鍵盤の上にズーム・インして彼の指が鍵盤に飛びかかり、転げ回り、探りをいれ、深く考える様を捉えている。
Jarrettは、歌い、リラックスしたかと思えば、大きく動揺してふらふらし、エレガントに演奏したかと思えば、騒然と、ピアノの歓びの歓声の中に文字通り飛び込んでいくといった不意打ちをかけてくる。
ショウは、"Ol'Man River"と"Don't Worry 'Bout Me"の傑出した演奏を含む、3曲のスタンダードで終わっている。
ビルボード誌より
今回のKoinuma's Noteはキース・ジャレットから始まり、河内紀、そして武満徹へと、まるで三題噺のように話しが転がりました。まさに、天才は天才を呼ぶというのはこういうことを言うのでしょう。

注1:ある音楽誌のために行われたこのインタビューはのちに
   「すべての因襲から逃れるためにー武満徹対談集」(音楽之友社)に採録された。
注2:雑誌<世界>(岩波書店)に連載された「闇のなかの夢の時」で記述。
   のちに単行本「夢の引用」として発売(岩波書店)


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