つい先日、9月に日本でも発売されるキース・ジャレットの新譜を聞きました。昨年9月のカーネギー・ホールでのコンサートを録音した2枚組「THE CARNEGIE HALL CONCERT」です。 僕も人並み以上にキースの演奏を間近で聞き、何度も素晴らしい体験をしていますが、今回の「THE CARNEGIE HALL CONCERT」、これは「ケルン・コンサート」をしのぐソロ・ピアノの傑作アルバムだと断言出来ます。 「ケルン・コンサート」は冒頭のメロディアスで美しいフレーズで人気を呼びましたが、あれから30年、ますます研ぎ澄まされて進化したキース・ジャレットには驚くばかりです。 ジャズに限ったことではありませんが、下手すると昔の名前で出ています的なミュージシャンが多い中、音楽を創造するキースの先鋭的な姿勢は若い頃と全く変わりません。 このCDが録音された日にカーネギー・ホールにいた二千数百人の客は本当に幸せです。この音楽を身体全体で受け止めることが出来たのですから。僕だってその場にいたかった。 キースの演奏はダイナミック・レンジが広く、音色の変え方が絶妙で、歌心があります。ケルン・コンサート時代は、時間をかけてゆったりと変化する演奏でしたが、最近は短いフォーマットを丁寧に積み重ねて自分の世界を創り上げています。 実は、この見事なCDが日本でどのように紹介されるのかがとても気掛かりです。残念ながら多くの日本の音楽ファンは、自分の耳よりもレビューの文章に左右されてしまうことが多いからです。 この続きは次号に書かせて頂きます。
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